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長野県特産であるエノキタケの制がん研究は、
昭和43年からJA長野厚生連北信総合病院で開始された。
その後、同病院と国立がんセンター研究所との共同研究が行われ、
さらに昭和56年から(社)長野県農村工業研究所に引き継がれた。
40年以上にわたる研究の結果、エノキタケには制がん作用、
発がん防止作用、さらに発がん予防作用があることが確認された。
菌学研究の大御所、今関六也先生(1904~1991)が唱えた「菌食論」が時を経て今注目されている。栄養摂取において栄養化学が説く化学的3要素をバランスよく摂取することは90%正しいが、この3要素を植物、動物、菌類という3つの生物をとおして摂取するという生物的バランスが重要であるという。ここでいう菌食とはきのこだけではなく、カビやバクテリアの発酵を利用したみそ汁、ぬかみそ漬け、納豆、チーズ、日本酒、醸造酢も入る。食の洋風化にともなって菌食が減ってきたことに対して、このさきの日本人の体質形成(ガン体質化)に先生は危惧を示されたものである。“菌食のすすめ”はまさに菌類の機能性に着目した栄養論である。
きのこをはじめ食品の機能には3つの考え方がある。一番目は一次機能として栄養素を人体へ供給する役割(栄養的価値)で、糖質、脂質、蛋白質、ビタミン、ミネラルなどこれにあたる。次に二次機能として呈味性や嗜好特性などいわゆる感覚機能(おいしさ)があり、糖酸比、肉質、香気成分、水分などがこれにあたる。以上のふたつは、従来の食品としての価値であるが加えて三番目に三次機能として、人体に及ぼす生体調節作用、いわゆる機能性がある。生体防御(免疫賦活)、生体恒常性の維持(分泌系、神経系、循環系等)、疾病回復機能、生活習慣病の予防と改善などがこれにあたる。
きのこの三次機能について、我が国では古くから、サルノコシカケ、マンネンタケ等のきのこ類ががんに効くという民間伝承があった。そして、1969年国立がんセンター研究所池川哲郎博士らによる食用きのこ子実体熱水抽出物に抗腫瘍活性が確認されたことをきっかけに、その後血圧降下作用やコレステロール低下作用、また、近年は、抗酸化作用をはじめ血流改善作用やがんの予防効果など、三次機能である生体調節機能特性も数多く確認され、各種学会でも機能性食品として“きのこ”が高く評価されるようになった。21世紀は、自分の健康は自分で守る、まさに「予防医学」、「医食同源」の時代と言われており、きのこは「代替医療」分野でも食事療法などとして重要な役割を担っている。